戦略コンサルタントの備忘録

新卒でコンサルファームに入社した戦略コンサルタントの備忘録。コンサルキャリアを考える材料をシェアすることが目的です。

too matchなコンサルの仕事

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よく技術力が高い日系メーカーが技術力ドリブンで作った製品が、消費者が求めてる以上のスペックとそのスペックに応じた価格となり、結果として売れない(=他国メーカーに負ける)と言う話が多々あります。
シャープのホンハイの傘下に入るに至った原因も、この消費者を顧みないtoo matchですね。

こんな感じのことを偉そうに書き記して本なんかも出しているコンサル業界でも、このtoo match問題が起きています。

チャンスを見つけて兎に角入れ込め!

コンサルがオブジェクトの位置や言葉尻に”超”が着くほどこだわるのはあまりにも有名な話なので割愛しますが、最近少しずつ増えて来ているように感じるのが「顧客へのより細かい提案を、より多く作れ」というものです。

これまでの御用聞き的な受注ではトップラインを上げていくのは難しい。
そうなると如何にクライアントの需要を喚起できるか。
とはいえ、あまり色めき立ち過ぎて、お金の匂いをプンプンさせるのも、クライアントファーストを掲げるコンサルにとっては望ましいやり方ではない。

ではどうするか?

通常のプロジェクトの中に兎に角「入れ込む」こと。
明らかに「事前にクライアントと擦り合わせて的を絞って検討した方が良くない?」ということでも、「それはクライアントの言いなりになるってことだよな?コンサルタントなら提案しろよ」とのカウンターパンチ。

でもこの提案も外すわけにはいかない。
提案して「詳細はまた次回」という訳にもいかない。
その結果、身を削り、命を削り、より多くの選択肢を、より細かく調査・分析するわけです。

too muchのコスト

冒頭メーカーの例で言えば、too muchは価格に反映されるため「そんな高いモノは買えない」と消費者がそっぽを向いてしまう可能性があります。

ではコンサルの場合は?

残念ながら、コンサルの場合は価格に反映されることはありません。
その代わり、そのtoo muchのコストは僕らコンサルタントが命を捧げるわけです。
それも本来の検討には何の価値もないと分かりながら。

実際にコンサルを使った人の経験談だと「最終報告書として200枚くらいの資料を納品してくれるが、実際に自分達が役員報告に使うのは2-3枚」という世界。
だから残りの100何枚が無駄だとは言えませんが、間違いなく無駄な紙があるのもまた事実。

too matchは環境だけでなく、働くコンサルタントの身も確実に蝕んでいくのです。