最近読んだ本について、これは是非コンサル志望者が読むべき本だと思ったのでシェアします。
プロフェッショナルコンサルティング
マッキンゼー出身の波頭亮氏と、BCGを経てコーポレートディレクションや産業革新機構、経営共創基盤を設立した冨山和彦氏が、日本経済が直面する現実とそこで求められるコンサルティングのあり方をテーマに対談形式で書かれた本です。
本書は2011年に発行されたのですが、今まさにコンサルティング業界に身を置く僕が直面している問題が明文化されており、本書を読んで頭が整理されると共に、改めてコンサルティング業界自身が直面している変換点について考えるきっかけとなりました。
コンサルティングファームのリアル
まず、俗に言う戦略系コンサルティングというものが、もやはなかなか成立しなくなっているということは知っておくべきことでしょうね。
(中略)
そういう意味では純粋な戦略系というコンサルティングファームといのは、もう半分幻想なのかもしれない。マッキンゼーでも、今はもう半分はオペレーショナルな仕事だと聞いています。
このブログでも何度か書いていることですが、フレームワークや経営学などの情報の非対称性で勝負できていた世界から、クライアント側にもMBA取得者やコンサル出身者、自身で勉強されている方などが増え、コンサルティングサービスに対するニーズは明らかに変化しています。もはや戦略立案なんか月数千万円も払って外注しなくてもできるわけです。
大切なのは、結局それをどうやるか。
で、そうしたクライアントのニーズにしっかり応えられているファームは、今のことろ市場に認知されるほど存在が確立されていません。
しかし、ファームも収益をあげなくてはいけない。
その結果、下記のような傾向になっているようです。
得てして、アリバイ作り系の仕事になっちゃうわけです。やっぱり会社って、いろんな意思決定を、いろんな事情でしなければいけない背景があるから、アリバイ作りのための仕事というのは、それなりにあるんです。
(中略)
ファームの経営的観点からすると、20代、30代の若手コンサルタントでやれるレポート作り代行のような仕事の方が取りやすいし大量にある。
本書でも言及されていますが、「ゴール」が決まっていて、そのゴールへたどり着くためのプロセスの見栄えを如何によく見せるかという"高級文房具"的な役割になってしまうわけです。
これは耳の痛い話です。
特に入社1,2年目は自分自身が提案したもの(因)がクライアント企業を動かしている(果)と錯角してしまっていましたが、プロジェクトの多くがクライアント企業の仮説(因)が僕らの提案(果)を決めていたわけです。
つまり、原因と結果が逆だったわけです。
ちなみに本書では文房具の他に、 "すごくよくできたカローラ"という表現もされています。
じゃあ一流のコンサルタントになるためには?
こうした高給文房具的な仕事ではなく、一流のコンサルタントとしてクライアントに意見を求められるようになるためには、「現場のリアルな経験を積む」「小さくとも一気通貫のビジネスを経験する」ことが挙げられています。
つまり、机上の空論で語るなと。
たしかに机上では何でも語れるわけです。
「自社で抱える販売員を活用して追加でAという商品を売れば、追加コストを抑えながら売上を上げることができます」
もっともらしく聞こえるこれらの話は、たしかにそうだよねと。
そんなことはみんなわかっている。
大変なのは、販売員に追加でAという商品を売ってもらうこと。
でも、正直それは現場を知らないと実感として持つことができない。
そういう文脈で、やはり事業会社での事業経験というのはとても重要なんじゃないかなと思うわけです。
その他にもコンサルタントが持つべき心構え、自分の鍛え方などが掲載されているので、一読をお勧めします。