戦略コンサルタントの備忘録

新卒でコンサルファームに入社した戦略コンサルタントの備忘録。コンサルキャリアを考える材料をシェアすることが目的です。

トレンドから見る今後の3つのコンサルタイプ

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1966年にBCGが日本オフィスを設立したことが、日本におけるコンサルティングの歴史の始まりだと言われています。

そんなコンサル業界ですが、この50数年の中でもしかすると最も大きな転換点を迎えているかもしれません。

転換点を迎えている要因として、

  1. 経済状況の変化:グローバル化、デジタル革命など
  2. クライアントのニーズ変化:働き方改革、コンサル人材の流入など
  3. コンサル業界の変化:流入人材の質の変化、規模の拡大など

など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

僕自身、いろんな方からコンサルへの転職についての相談を受けることがあり、自分の頭の整理のために、今後コンサルタントはどのような方向性に向かっていくのかをまとめたいと思います。

今後の3つのコンサルタイプ

  1. 徹底的に顧客に寄り添うプロコンサル
  2. 高級文房具的なコンサル
  3. 経験を武器に戦うグレイヘアコンサル

①徹底的に顧客に寄り添うプロコンサル

一つ目は、徹底的に顧客に寄り添うプロコンサルタントです。

このタイプのコンサルは、従来通り顧客の重要経営課題の解決に向けて価値を提供していくことになります。

市場の変化は凄まじく、業界という境界線で守られていた時代とは異なり、今はGAFAを筆頭に、従来の業界という垣根を越えて、企業間の競争が繰り広げられるようになっています。

様々な新規事業が引っ切り無しに立ち上げられ、経営者や将来の幹部候補は、常に不安と隣り合わせになっています。

そんな顧客と同じ目線に立ち、365日24時間顧客に寄り添うことが求められるのではないでしょうか。

コンサルのアウトプットは時間ではないとは言え、市場に大きな動きがあっても週末ゆっくり休んでいる人が、365日24時間不安と隣り合わせの経営者の真のディスカッションパートナーとして選んでもらうことはできないでしょう。

僕自身、一度事業会社を経験しており、経営ポジションではないですが、何度かコンサルファームに支援してもらいました。

そんな時に、やはり真のパートナーだなと思うのは、やたらとスコープを切りたがるコンサルや、「工数的に」などと言ってくる人ではなく、常に課題解決や事業成長を考え、必要なアクションを取ってくれるコンサルタントです。

そのため、このタイプはこれまで以上にハードワークが求められるのではないでしょうか。

②高級文房具的なコンサル

 顧客企業では、働き方改革が頻りに叫ばれています。

自分たちでできなくはないが、早く帰らなければいけないので、調査や分析、資料作成などを自分たちの手となってやってもらおう。

そんなニーズが出てきています。

これが所謂、高級文房具的なコンサルです。

中には、隣の机に座ってもらって、御用聞き的に作業してもらうといったケースもあります。

この高級文房具的なコンサルは、従来のコンサルティングと異なり、そこまでハードワークする必要がありません。

一方、コンサルファームに入社してくる人々の価値観も徐々に変化してきているようです。

一昔前は、野心に溢れ、四六時中働くことを自ら選んでいた人が多かった業界ですが、コンサル業界の認知度が上がったこともあり、「コンサルに入っておけば潰しが利きそう」「知名度がある/ブランドがある」と言った理由で「とりあえず」コンサルに入る人が多いようです。

そうしてその中の多くの人は、あまり激しく働くことを望んでいないと。

別にこれは悪いことではなく、顧客のニーズ(高級文房具的なコンサル)と、コンサルタントのニーズ(そこまで激しく働きたくない)が一致しているので、市場としては成り立っているわけです。

但し、「コンサルに入っておけば潰しが利きそう」「知名度がある/ブランドがある」という理由で入ってきた人は、この働き方では、自分自身の市場価値が上がらないことは早めに理解しておく必要があるかなと思います。

高級文房具的なコンサルニーズはしばらくはなくならないと思いますし、コンサルファームとしても戦略案件を短距離走的にデリバリーするよりも遥かに楽なので、コンサルファームとしても辞めることはないと思います。

ですが、繰り返しになりますが、いちコンサルタントの立場で考えると、これは目先で楽をして、苦を将来に先送りしているだけなので、危機感を持つべき状態というのは早めに気づいて行動する必要があると思います。

③経験を武器に戦うグレイヘアコンサル

そんな中で、再び勢力を拡大していくのは、経験を武器に戦うグレイヘアコンサルではないかと思います。

もともとコンサルティング事業は、経験豊かな人(グレイヘア)が自身の経験を踏まえてコンサルティングを行うことから始まりました。

そこから、MBA卒の優秀な学生を活用してファクトベースコンサルを確立したのが、マッキンゼーを成長させたマービン・バウワーなわけですが、上述の通り、現状は徹底的に顧客に寄り添うプロコンサルと、ホワイトな高級文房具的なコンサルに二極化しています。

本当にハードワークしないと顧客の真のディスカッションパートナーになれないかと言うと、必ずしもそうではない。

極論ですが、Amazonのジェフ・ベゾスがコンサルタントとして活動した場合、ハードワークなんてせずに、大きな価値を生み出すことができると思います。

なぜなら彼には圧倒的な経験と実績があるから。

上記例はさすがに極端ですが、ある特定領域で多くの経験と実績を積んできた人は、コンサルティングファームでしか勤務経験がない人や、数年しか事業会社での経験がない人では生み出せない価値を提供できると思います。

例えば、事業会社である特定領域の経験を積まれた方や、コンサルファームで鍛えた後に事業会社で経験を積んだ人などが、経験と実績を武器に、真のディスカッションパートナーとして価値を提供していくというケースがもっともっと増えてくるのではないでしょうか。