戦略コンサルタントの備忘録

新卒でコンサルファームに入社した戦略コンサルタントの備忘録。コンサルキャリアを考える材料をシェアすることが目的です。

ポストコンサルキャリア~PEファンド

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以前、ポストコンサルキャリアとして「起業」に関する情報(コンサル出身の起業家)を取り纏めましたが、今後も僕自身が検討するポストコンサルキャリアについて書籍やネット、当該領域で働く人の話を聞くなどして集めた情報を纏めていきたいと思います。

www.strategyconsul.com

今回は戦略コンサル出身者に人気が高いPEファンドについて書きたいと思います。
(※ここでいうPEファンドはバイアウトファンドを指します)

PEファンドとは

PEファンドはプライベートエクイティファンドの略で、プライベートエクイティ(=未公開株式)を対象に投資を行います。
(実際は公開株式に投資する例もあります)

未公開株式ですので、広義の意味ではベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)もPEファンドに含まれますが、今回は冒頭の通りPEファンド=バイアウトファンドとしたいと思います。

PEファンドのビジネスモデルを単純化して説明すると、①投資家からお金を集め、②そのお金で企業や事業を買収し、③何等かの経営改善を行い、④IPOやM&Aで売却することで利益を得ることです。

①投資家からお金を集める

投資をするにはお金が必要なので、まずは複数の機関投資家からお金を集めます。
「我々はこんなメンバーでこんな実績があり、このくらいのリターンを目指します」と言って数千億円のお金を集めるって凄いことですよね。
(このフェーズはコンサルからは全く見えないフェーズです)

②企業や事業を買収する

お金を集めたら次は企業や事業を買収します。
投資対象(規模や業界)はファンドによって異なりますが、中小規模の企業を丸っと買収するケースもあれば、大手企業の一部事業を買収するケースもあります。
あんまり規模が大きくなると、複数のPEファンドや事業会社と共同出資という形買収するケースもあります。
(現在世間を騒がせている東芝の半導体事業がまさにこのケースですね)

候補企業や事業は当然精査する必要があるので、その精査をコンサルに委託するケースが多いです。
ですので、このフェーズはコンサルには馴染みのあるフェーズですね。

③経営改善を行う

買収が完了したら、次は経営改善を行い企業価値の向上を志向します。
経営改善の実施度合いも投資対象に大きく依存して、社内ガバナンス体制を整備すれば企業価値が向上する案件もあれば、ファンドのネットワークを駆使して海外事業強化が必要となる案件等、様々です。

私が話を聞いた某ファンドの方は「良い案件に投資できれば、経営改善なんてしなくても儲かる」とも言っていました。
勿論そんなイージー案件は本当に少数だと思いますが、PEファンドは飽く迄金融業なんだなぁと感じた次第です。

投資フェーズと同様に、経営改善フェーズでもコンサルが関与することが多いので、馴染みのあるフェーズですね。

④IPOやM&Aで売却する

最後は売却フェーズです。
商売においては「安く買って、高く売る」というのが基本ですので、③の経営改善以外にも様々なお化粧を施します。
ガンガン合理化して足元の利益を良く見せたり、ファンドが抱える複数の企業を合併させて中身を良く分からなくするなんていうのも常套手段のようです。
(勿論全てがそうであるわけではありません。)

PEファンドの最近の売却事例だとスシローやコメダなんかが話題になりましたね。

ちなみに、PEファンドの報酬は運用成績に連動しない報酬(運用資産額に数%掛けた金額)と、運用成績に連動した報酬(目標収益を上回った額に数%掛けた金額)の合計になります。
比率的に言うと、後者の方が圧倒的に大きく、調子の良いファームはメンバーに対しても物凄い報酬を与えるのだとか・・・。

ポストコンサルキャリアとして人気の理由

①主体感

コンサルはどこまで行っても「外部アドバイザー」です。
また、サービス業でもあるので「クライアントが見たい絵を見せる」ことが一つの価値だったりもします。
(つまり自分が正しいと思うこととは別の提案をすることもあります)

一方、PEファンドの場合、経営改善を行う先は"自分達"が経営権を持つ企業ですので、自分事として正しいと思うことを追求できるのです。

②年収

以前書きましたが、コンサルタントの年収は正直その労働対価としてはかなり低いです。
その一方で、ファームにもよりますが、PEファンドの年収は僕らコンサルタントが鼻血を出すくらい高いです。
繰り返しになりますが、ファームによって報酬体系が異なるので、少し広いレンジになりますが、コンサル時代の年収の2~5倍くらいも有り得るそうです。

オススメの書籍

バイアウト-産業と金融の複合実務


スカイマーク等に投資していることで知られるインテグラル代表の佐山さんが書いた本です。
PEファンドの活動(上記「PEファンドとは」を詳細に書いたもの)が明示されており、PEファンドが何なのかを把握できます。
エージェントにも必ずオススメされる本で、PEファンドを目指す人/少しでも検討している人にとっては必読本です。

ブラックストーン


PEファンドの歴史を紐解いた本です。
KKR、Carlyleと3強を構成するBlackstoneの設立背景からその変遷。
彼らが何を考え、どう行動してきたか。
時代と共に変化する彼らの投資スタイルや、界隈では有名なRJRナビスコの巨額買収等を色鮮やかに描いたドキュメント本です。
PEファンドで働いている人にはオススメされた本で、個人的には絶対に読んでおくべき本だと思います。