戦略コンサルタントの備忘録

新卒でコンサルファームに入社した戦略コンサルタントの備忘録。コンサルキャリアを考える材料をシェアすることが目的です。

だからコンサルは使えない。コンサル出身者を雇った経営者の話

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先日、とあるベンチャー企業を経営する方とお話する機会がありました。
その人は外資系のメーカーを数社渡り歩いた後、独立した方で、メーカー勤務時代からコンサルと共同でプロジェクトをやってきたとのこと。

そんな彼から衝撃の一言。

「最近コンサル出身者を雇ったけど、外部アドバイザーとしては有能なコンサルタントも、内部者になると使えない」

企業が利益を生むのは「戦略」ではなく「モノやサービスを売る」こと

なぜ外部アドバイザーとしては有能だったコンサルタントが、内部者になると途端に使えなくなってしまうのか。
月数千万円も払うほど外部アドバイザーとしての価値を感じていたのに、それが途端に使えなくなるということが本当に起こり得るのか。

そのギャップは一体何なのか。

その方は、こう表現していました。
経営コンサルタントの事業領域は経営全体のほんの一部。リフティングの達人が優秀なサッカー選手になるわけじゃない」
そう、どれだけ自社、競合、市場を分析して戦略を立案しても、それ自体は一銭の価値もない。
その戦略を実行して初めて価値が生まれる。(その戦略が正しければ)

大企業のように完全分業制が成り立っている組織でない限り、戦略を立案していればOKというポストはほぼないと思います。
PCの前でひたすらパワポを量産してきたコンサルタントには、その戦略を実行する能力が培われておらず、「使えない」の烙印が押されてしまうのかもしれません。

「事業家になりたいから、まずはコンサル」は違う

この話を聞いて、DeNA創業者であり、マッキンゼー出身の南場智子氏のインタビュー記事を思い出しました。

gaishishukatsu.com

南場氏は記事中にこう言っていました。

コンサルタントでの経験はハンディキャップになることが多い
出来るだけ実業の世界に早めに入った方がいい。
コンサルティングと実業は真逆で、言うのとやるのは全く違います。
やる方がよっぽど考えないといけない。次元の違う思考力が求められる。
そうした観点から言えば、なるべくなら新卒で入社してほしいと思います。

なんと「ハンディキャップ」になることが多いとのこと。
更には、「コンサルに行ったことが間違いだった」とまで言い切っています。

私は事業家としてはコンサルに行ったことは間違いだったと思っていますが、コンサルを低く評価しているわけではなく、アドバイザーとしてのキャリアも素晴らしいと思います。ただ事業家になろうと思ったら、近づかない方がいい。それは自分で決めて欲しいと思います。

というのはdoer(実行者)とアドバイザーはものすごく違います。「タイガーウッズになりたいのか、レッスンプロになりたいのか」ということ。そういうことなんですよね。でもレッスンプロと言う職業が悪いわけではない。レッスンプロになったら、タイガーウッズを越えるゴルファーを育てることに本気で取り組んで欲しいと思います。

 もちろん、上記の記事でも言及されているように飽く迄「事業家になろうと思ったら」という条件付です。

とは言え、コンサルワークをする中で「手触り感がない」「最後に尻を拭けない歯痒さ」を感じている僕にとってはとても耳が痛い話でした。

但し、評価されるコンサル出身者もいる

とは言え、コンサル出身者が本当に事業家として使えないかというと、必ずしもそうではなさそうです。

ベンチャー業界からは多数のコンサル出身者向け求人が出ていますし、実際、私自身も熱烈なオファーを貰ったり、知人(コンサル出身者)の紹介を求められたりしています。

コンサル出身者が評価される理由については、以下の記事に纏まっていますので、ご覧ください。

consul-career.com